嗤うケダモノ
いやいや…
バカにも限度ってモノがあるワケでして。
日向の後ろからひょっこり出てきた由仁の瞳は金色に輝き、白い肌には朱い隈取りが浮き出ていた。
「先輩ィィィ!
バットを持てぇいィィィ!」
「えー?
ついさっき外に出せっつって、次はバットー?
ヒナ形様、人使い荒いでございますー。」
仁王立ちで荒ぶる日向と、顔の前で手をヒラヒラさせて埃を払う由仁が、出陣コントな会話を交わす。
バット、て。
ソコは刀じゃねーのかよ。
ヒナ形様、て。
ウマいコトお屋形様もじってンじゃねーよ。
てか、ナニヤッテンノ?
このバカ共。
「痴れ者めェェ!
この木崎日向が、首を討ち取ってくれるわ!」
「えー? 首はサスガにマズいって…
あ。
ジーチャーン、杏子さーん。
見てねェで、ヒナ形様止めてー。
ご乱心でござるー。」
空狐と杏子の姿を見つけた由仁が、駆け出そうとする日向を取り押さえながら助けを求めた。
てか、ま じ で!
ナニヤッテンノ?
このバカ共。
苦渋の決断を下した空狐が、人に仇なすバケモノと成り果てた由仁を抹殺する、なんてシリアス展開はどーなった?