嗤うケダモノ
「ぐわっ」
片手は日向の腰に回したまま、顔の横に持ってきたもう片方の手を鉤爪のように曲げた由仁が、意味のない奇声を発してみると…
「ぅわあああぁぁぁぁぁ?!
許してえええぇぇぇぇぇ?!」
孝司郎は一際甲高い悲鳴を上げ、さっきより小型のダンゴ虫になった。
コレは…
間違いねェわ。
まさかの事態だわ。
いやいや…
心霊体験してみたいとは常々思ってたケド、自分がユーレーになりたいなんて思ったコトは、一度たりともなかったワケでして…
いやいやいや…
てか、この人、今さっき自分が誰を閉じ込めたのか、もう忘れちゃったの?
ボケなの?
いやいやいやいや…
えー…
(頭抱えたいの、俺だわー…)
目を閉じて項垂れた由仁は、深い溜め息を吐いた。
でも、まー…
良しとしとく?
幽霊出現妄想で、完全に心折れてるみてーだし。
「で?
どーだったの?杏子さん。
てか、一足先に自白したも同然だケドネ、コレ。」