嗤うケダモノ
赤子になったという化け狐の行方は、見当がついている。
夏の暑い日、女が死んでいたと騒いだイカレ女。
それが、化け狐と勇猛果敢に睨み合っていた女だ。
その女が連れていたという赤子。
それが、化け狐だ。
来ないというのなら、捜し出して呼び寄せてやる。
瑠璃子はコンピューター管理されていなかった頃の宿帳を引っ張り出し、丹念に調べた。
女の名前は久我杏子。
瑠璃子は探偵業者に依頼し、さらに調べた。
女は有名な霊能者。
そして… 高校生の息子がいた。
探偵業者から二人の写真を見せられて、瑠璃子は確信した。
千鶴子に瓜二つの久我杏子の息子。
コイツが化け狐に違いない。
なーにノンキに高校生活楽しんでンの?
霊能者に飼い慣らされちゃった?
まぁ、イイ。
呼び寄せて舞台を整えてやれば、大事な頼まれ事を思い出すだろう。
いや、思い出させてみせる。
困ったフリして徐霊依頼なんかして、旅館に招き入れ。
自らネットで拡散しといて、さらに困ったフリして帰りにくくして。
怪しまれないタイミングを見計らって意味深にスニーカーを出現させ、千鶴子の存在を匂わせて…
なぜか千鶴子と姉妹であるコトがバレてしまったが、今さらどーだってイイ。
秘密は暴かれた。
後は、その鋭い牙を剥くだけ。
そうでしょう?
久我由仁‥‥‥