嗤うケダモノ
(最初からナニかあるとわかっていながら、ココに来た。
ソレはつまり…)
千鶴子に託された復讐を遂げる気があるというコト。
瑠璃子はそう考えた。
彼女は知らないのだ。
嫌な予感がしようが、よしんば妖怪アンテナがビンビンだろうが、バニーちゃんの湯上がり浴衣を優先するバカが世の中に存在するコトを。
だから、蹲る孝司郎を指差し、高らかに叫んだ。
「茶番は終わりよ!久我由仁!
さぁ、この男を殺して!
千鶴子の願いを叶えて!」
なのに、返ってきた由仁の言葉は…
「えー?
俺、お願いなんて聞いてナーイ。」
こんなんデスYO!
瑠璃子は目を瞬かせ、口まで開けて硬直した。
話が違うじゃねーか…
ちょっと確認させて。
「…
アンタが、化け狐なのよね?」
「んー…
まぁ、だネー。」
「…
千鶴子に、復讐を、頼まれたのよね?」
「んーん。
聞いてナーイ。」
「…
じゃ、あのコはナニを『お願い』してたっつーの?」