嗤うケダモノ

その声を聞いた由仁も、ピョコリと顔だけを上げて杏子に向かって親指を突き出し、ニヤリと笑う。


(コレは…
ドーナッテンダ…?)


日向は、やっぱり着いていけてない。

頭のイタいコが降臨して、終了のお知らせが届いて、プロポーズされたような気がするが、強烈な蹴りに撃破されて、親指がチッチキチー…

クラクラしながら突っ立っていると、いつの間にか目の前には杏子。

どーすんの?
どーすりゃイイの?

とりあえず、間違いのナイ行動を…


「生きててゴメンナサイ。」


日向は虚ろな表情のまま、深々と頭を下げた。

だが、杏子は項垂れる日向の手を取り、ギュウギュウと強く握りしめる。


「なんでヒナちゃんが謝るンだい?
むしろ、生きててくれてありがとう!」


ギュウギュウ、ギュウギュウ…

なんて握力だ。


「あの… 痛…」


「ごめんなさいねェ。
ジンのバカったら、先走っちゃって。
急にあんなコト言われても、困っちゃうわよね?
結婚は気が早すぎるわよね?」

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