嗤うケダモノ
年齢的に考えて、『カズヨさん』がオカーサンか?
でもって『杏子さん』がオネーサンなのか?
それとも、ドラマのような血の繋がらない同居人パターン?
「ジンの部屋、だぁ?」
低く鋭い『杏子さん』の声が、日向のこんがらがる思考を遮断した。
「あり得ないね。
そんなの、猛獣の檻にエサを投げ入れるも同義だろ。」
大きな胸を強調するように腕を組んだ『杏子さん』が、フンっと鼻で笑う。
って… え?
食べられちゃうの?
「‥‥‥チっ」
横を向いた由仁が、端正な顔を歪めて舌打ちする。
って… えぇ?!
食べちゃう気だったの?!
青ざめた日向が、プルプル震えだす。
うん。
そのカンジ、まさにエサ。
「お二人とも、ご冗談ばかり仰ってないで、早く着替えてきて下さいな。
お嬢さんが驚いておられますよ。」
滑るような優雅な動きで玄関に歩み寄った『カズヨさん』が、穏やかに18禁二人組を窘めた。
とても冗談とは思えなかったケド、冗談として丸く収めちゃったよ。
サスガ年の功。