嗤うケダモノ
ココはまず、オカーサンにご挨拶でショ。
日向は『カズヨさん』に向かって、勢いよく頭を下げた。
「ははは初めましてっ。
私、木ざ」
「ちょーっと待ったぁぁぁ!」
日向の挨拶は、『杏子さん』の鋭い声に遮られた。
「自己紹介は後だよ、お嬢さん。
ナンカ着てくるから、客間で待ってな。」
えー?
半裸のアンタはともかく、ちゃんと服を着てるオカーサンらしき『カズヨさん』への挨拶も、待たなきゃダメなの?
「ジンも早く着替えて来な!」
威勢よく言い切るなり、長い廊下を走り去るリアルフジコ。
「…ちぇー」
不貞腐れた顔でスニーカーを脱ぎ、玄関脇の階段を上っていく全身猥褻物。
取り残された日向は、どうすればイイのかもわからず縋るような目で『カズヨさん』を見た。
視線に気づいた『カズヨさん』が、楽しそうに微笑む。
「大丈夫。
お嬢さんもすぐに慣れますよ。
さ、客間にご案内しましょうね。」
…そーゆー問題ではナイ。