嗤うケダモノ
なんで一人だったかって?
友人と別れた直後だったワケ。
丁度、ちょっと遊び足りないナ なんて思ってた時だったワケ。
本当に迂闊だった。
心霊スポットだなんて、いかにも人気がなさそうな場所に行くなんて。
ナンパ野郎の原付に二人乗りして、帰り道もわからない場所に行くなんて。
『確実に出るってウワサの、廃病院なンだよ』
なんて解説を聞きつつ、破れた金網を潜って案内された古い建物には、案の定、別の男たちが待っていた。
「おー、待ってたゾー。」
「お楽しみの始まりだー。」
ガラスの割れた窓から待合室だったであろう広いスペースに入った私に、二人の男が寄ってきた。
「…どーゆーコトだよ…」
眉を顰めて、隣に立つナンパ野郎を見上げる私。
するとナンパ野郎は突然私の腰を抱き、ニヤリと笑った。
「ココに出るのってさぁ…
男たちに乱暴されて、自殺しちゃった女のコの霊らしいよ?」
「?!」
私は青ざめた。
なんてこった。
今から私が、その幽霊になる予定ってか?