嗤うケダモノ
コワっ?!
穏やかな声音なのに。
結った髪に差した簪を直す仕草は優雅なのに。
心底コワっ??!!
顔を引きつらせる由仁と、再びガバっと頭を下げる日向に軽く頷きかけて、杏子は客間を後にした。
残された由仁は思う。
(まじ怖ェ…)
残された日向は思う。
(まじカッケー…
仕事って、極妻?
いや、待てよ…)
由仁に向き直った日向が、首を傾げて問い掛けた。
「先輩。
『八卦』ってなんですか?」
「占いのコト。」
「え?
お父さまが祓い屋で、お母さまが占い師?」
「んーん、オヤジはいない。
杏子さんが『霊能者』って名前の、ほぼ詐欺師なの。」
由仁は座卓に頬杖をつき、目を瞬かせる日向に向けて身を乗り出した。
いきなり食べちゃうのは支障アリアリで命の危険まで伴うが、少し距離を縮めるくらいは許されンだろ。
となれば、会話は必須。
幸い、彼女の知りたいコトは全て手の内にある。