嗤うケダモノ
「霊能者が所帯染みてちゃマズいから、母親だケド『杏子さん』。
カズヨさんは… お手伝いサン?
でも、俺が生まれる前からこの家の全部を取り仕切ってくれてて、もう家族も同然なの。」
「はぁ… なるほど…」
ニコニコと笑いながら家族紹介をする由仁に、日向は曖昧に頷いた。
お手伝いサン付きのブルジョアハウスて。
エセ霊能者って儲かンだな、おい。
でも、ソレって…
(ギリギリ犯罪未満…?)
思っていても、とても口にはできない日向の疑問を見透かしたように、由仁が白い歯を見せた。
「問題ナイよー。
杏子さんにそーゆーチカラがあるのは、ほんとだし。
ただ、やってるコトは今日の俺とほとんど一緒だケドネー。」
「え…
どーゆーコトですか?」
「相談される霊障のほぼ9割が、気のせいだってコト。」
気のせい…
タケルとユカに起こったコトも 全部二人の気のせいだと言うのだろうか。
「…説明、してください。」
背筋を伸ばして座り直した日向は真剣な目で由仁を見据えた。