嗤うケダモノ

「霊能者が所帯染みてちゃマズいから、母親だケド『杏子さん』。
カズヨさんは… お手伝いサン?
でも、俺が生まれる前からこの家の全部を取り仕切ってくれてて、もう家族も同然なの。」


「はぁ… なるほど…」


ニコニコと笑いながら家族紹介をする由仁に、日向は曖昧に頷いた。

お手伝いサン付きのブルジョアハウスて。

エセ霊能者って儲かンだな、おい。

でも、ソレって…


(ギリギリ犯罪未満…?)


思っていても、とても口にはできない日向の疑問を見透かしたように、由仁が白い歯を見せた。


「問題ナイよー。
杏子さんにそーゆーチカラがあるのは、ほんとだし。
ただ、やってるコトは今日の俺とほとんど一緒だケドネー。」


「え…
どーゆーコトですか?」


「相談される霊障のほぼ9割が、気のせいだってコト。」


気のせい…

タケルとユカに起こったコトも 全部二人の気のせいだと言うのだろうか。


「…説明、してください。」


背筋を伸ばして座り直した日向は真剣な目で由仁を見据えた。

< 55 / 498 >

この作品をシェア

pagetop