嗤うケダモノ
日向から連絡してくるコトは、まずナイだろう。
やはり最初はコチラから。
だが…
いつを『最初』にするべきか?
あまりガッツきすぎると、逃げられてしまいそう。
まぁ、逃がさねーケドさ。
あまり時間を空けると、なかったコトにされてしまいそう。
まぁ、なかったコトになんてさせねーケドさ。
さぁ、どーする?
今日か?
明日か?
もっと先か?
(んー…
考えンの、めんどくさくなっちゃった。
かけよ。
声、聞きたいしー。)
まだ昼過ぎだから、押し切れば会えるカモ知れないしー
眉間の皺を解除した由仁は、アッサリとスマホを手にした。
最良のタイミングはどーなった?
あんなに悩んでたのは、いったいなんだった?
結局、本能のままか。
ニンマリと笑った由仁の指が、本能のまま液晶に触れる…
直前、着信音が鳴った。
ナニコレ?
こんなタイミングはいらねーよ。
頬を膨らませながら発信者名を見た由仁の目が、瞬時に輝く。
日向だ。
絶対にかかってこないだろうと思っていた、日向からの着信だ。