嗤うケダモノ
土曜日、日向はユカに電話をかけた。
由仁に言われた通り、楽しい結婚話でもして二人の様子を確かめようと思ったのだが‥‥‥
そんな場合ではなくなっていた。
再発?
それとも、ガチで憑かれてた?
違いマスぅ。
すっかり元気になったタケルとユカの興味は、日向の『カレシ』である由仁に移っていた。
テンション上がりまくりで、根掘り葉掘り聞きまくり。
あんなにやつれてた様子は、いったいなんだったの?
憑き物が落ちたって、こーゆーコトなの?
本当に、もう何の心配もなさそうだ。
二人を元に戻してくれた由仁に感謝してみたり。
『カレシ』だなんて名乗った由仁を恨んでみたり。
複雑な感情をもて余す日向をよそに、ユカ提案の『日向の恋バナ聞いてニヤニヤしよーゼ集会』の開催が決まってしまった。
日曜日。
アキも呼んで。
タケルとユカのアパートで。
…って、恋バナなんてねェよ。
ドコをほじくり返しても、そんなモン出て来ねェよ。
温泉も湧かねェよ。
いいトコ、泥水噴出だよ。
赤の他人デスって言っても、納得してくれる?
砂吐きそーなほど甘い話を捏造しなきゃダメなのか?
一晩中悶々と悩んでも答えが出ないまま、今日、日向はアパートに行く前にアキの住むマンションに寄ってインターホンを押したのだが…