嗤うケダモノ
(‥‥‥‥‥ヤるか。)
日向は静かに立ち上がった。
散々巻き込んでおいて今更だケド、コレ以上迷惑をかけるワケにはいかない。
危ない目に遭わせるなど、以ての外。
これくらい、自分でなんとかしなきゃ。
まず掛布団を退けて、ベッドマットレスを落として…
コンコンっ
「ひょっ?!」
不意に窓が叩かれ、日向が驚きに身を竦める。
持ち上げた掛布団で身体をガードしながら恐る恐る振り返ると…
「ヒーナー、開ーけーてー」
緊張感の欠片もない、相変わらずのセクシーボイス。
ガラスの向こうで、由仁が艶やかに微笑んでいた。
あ。
お迎えだ。
ほんとに来たンだ。
でも…
ソレ、ただの窓だよ?
ベランダとか、ついてナイよ?
…ナンデ浮かんでンの?
「せせせせせ先輩??!!」
放心状態から抜け出した日向は すぐさま布団を投げ出して窓を開け放った。