嗤うケダモノ

私たちを照らしていた光が、向きを変える。
タっタっと響く足音が、建物の奥に消えていく。

まじで逃げやがったぁぁぁ?!

なんか道具出して、ジャ●アン三人組を撃退してくれるンじゃねーのかよ?!

せめて、四次元ポケット置いてけやぁぁぁぁぁ!!

ドラ●もんが走り去った方向に手を伸ばす私も大概必死だが、ジャ●アンズはさらに切羽詰まっていたようだ。


「ヤバいゾ! 捕まえろ!」


「ドコ行きやがった?!」


「知るか! 別れて捜すゾ!」


私の存在など忘れたかのように ドラ●もんを追って‥‥‥

…コレ、助かったンじゃね?

建物に反響するドアの開閉音や足音は遠くなっていく。

今なら逃げられる。

ココがドコかなんてサッパリわからないが、とりあえずこの場を離れよう。
走って、走って、見覚えのあるトコロに出たら、親か友達に連絡して迎えに来てもらおう。

逃げるンだ…

私は縺れそうになる足をなんとか動かし、入ってきた窓に向かってヨロヨロと歩き始めた。

その時…

いきなり腕を掴まれた。


「ギャむぐっっっ??!!」


悲鳴を上げようと開いた口を塞がれた。

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