嗤うケダモノ
生き物は寂しがり。
だから群れを作りたがる。
死んでからも、それは同じ。
確固たる意思を持たない霊は、引き寄せ合って群れになる。
もしも、それなりにチカラを持った霊が核となり、寂しがりたちの群れが出来てしまったら?
命のチカラを上回るような、強い霊の塊にも成り得るのだ。
あの黒い霞みも、その類いのモノだったらしい。
野狐(ヤコ)という低級のモノノケにその辺の動物霊が引き寄せられて巨大化し、ついでに気まで大きくし、コックリさんで呼び出されたのを機に、その場所、即ちアキの家をナワバリにしようとした。
なのに、せっかく手に入れたナワバリに妖しい気配を持つ者が乱入した。
ナワバリが侵されるのを嫌い、まとめて始末しようと企んだが…
「返り討ちを食らって、跡形もなく消されてしもうた、と。
アヤツらも、まさか相手が九尾だとは思わんかったンじゃろうな。カッカッカッ」
まるで本物の黄門様のように、小さなジーチャンは笑った。
疑問点は残るが、とりあえずアキたちに憑いていたモノは祓えたようだ。
顔を見合わせた由仁と日向は、安堵の溜め息を吐いた。
「ありがとうございました。
先輩が九尾でよかったぁ…」
「だねー。
よくわかんないケド、人柱力でよかったー。」
…軽いな、おい。