鍵の付いた羽根たちに。Ⅰ
車の後ろの座席へ来て、
反対側から出る昂ちゃん。
昂ちゃんは、
僕の隣の扉を開け、
僕に手を差し出す。
取れということか?
「梓?」
悠利が気づいてこちらに近づいてくる。
そんな悠利たちを横目に、
僕は昂ちゃんの手をとった。
「梓。
一緒に門まで行こう?」
僕を梓と呼ぶ昂ちゃん。
そんな昂ちゃんに
僕は笑顔で、
「うん!
行きましょ?
昂♪」
僕は昂ちゃんを呼び捨てで呼び、
悠利たちの前を通ろうとする。
「お前…
誰だよ」
低い声で昂ちゃんに
問うたのは…
空遥だった。