鍵の付いた羽根たちに。Ⅰ
「返すわけにいかないな~」
いきなり緩くなった昂ちゃん。
けれど緩くなったのは、
口調だけで言葉には重みが増した。
苦痛に歪む五人の顔。
苦痛に……歪む……
「昂…ちゃ…ん……」
ー『たす……け…て……』
「梓?
梓!?おい!
どうした!!
…そうか!!」
ー『たす……け…て……』
あぁ…
真っ赤な人たちが…
僕に助けを求めている。
こんな血ダラケになって…
「うわぁあぁああぁあ!!!!!!」
最後に五感で感じ取ったのは、
僕の体が宙に浮く感覚と、
叫ぶ学院の子達の声、
そして優しいシトラスの香りと…
手を差し出す______だった。