鍵の付いた羽根たちに。Ⅰ


 俺は正直、
イライラしているのだろう。

喧嘩のときの声が出た。

重低音な声が男から聞こえる。

「随分な身分だな、
此方が聞きたい。

梓に何故近づく。」

チッ…

呼び捨てな…

そこから少し沈黙が流れ、
言い合った。


けれど、
納得するか…

絶対にこの男。
昂という男には渡さねぇ。

それは、
俺がこっそり心のなかで決めたこと。

倒れた梓を抱き抱えた男を
見ながら…



< 33 / 53 >

この作品をシェア

pagetop