鍵の付いた羽根たちに。Ⅰ
「これが泣いてねぇのかよ…」
そう言って僕に近づき、
頬の雫をすくう高崎。
「高崎…」
「ん?
なんだ?」
ホントにこいつは…
僕のことなんて知らないくせに…
「お前…
泣いてるぞ?」
「ッ!」
僕の雫をすくう癖に泣いていた高崎。
「同情か?
泣いていたら泣くっつうバカか?」
「同情じゃねぇ…
けど何か思い出しちまったんだ…
………」
何かボソッと呟いていたが、
僕はそれを聞き取れなかった。
何でこうも…
「フッ…」
「あ?」
「フフフフっw」
泣いていたのに、
愉快なんだろう…