ナムストーンPART1

ナセルベックハム2

ナセルは車で絨毯と香水をグランバザールへ届けるのだ。
ナイル川を渡ってカイロの中心地付近はものすごい人ごみ。

車、荷車、馬車、らくだ。ごった煮の埃だらけに鈴なりのバス。
ナセルは渋滞の中をグランバザールの入り口付近にやっと着いた。

大通りに車を止めて香水だけを運ぶ。カイロには香水屋がずいぶん
と多く、自分だけのオリジナル香水をブレンドすることができる。

客は金持ちの中年男たちだ。白い風通しのよい木綿更紗に一重の
ターバン。五角形の組みひもで頭を押さえている。素足にサンダル。

このスタイルは太い腹を隠せてしかも涼しく上品に見えるから不思議だ。
彼らの一番のこだわりは香水なのだ。ナセルの父親はこれで大もうけをして

3人の妻と10人の子供たち、いくつかの会社を家族で切り回している。
末っ子のナセルは定めし配送係というところか。
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