ナムストーンPART1

大地震1

それから数ヵ月メンバーは勉学にいそしみ正月も過ぎて、
この夏にでもみんなで一度会いませんかと言う話になってきた。
学年末の夏休み8月ごろがいいのでは。

そうした1年中で一番寒い底冷えのする夜に
オサムはまたあの胸騒ぎを感じた。
ナムストーンと祈るが石は一向に明るくならない。

ふと眠り込んでしまってザーッと言うテレビの音に目が覚めた。
時計を見ると午前5時を回ったところだ。

テレビを消してしばらくすると突然下から突き上げる
ドドーンと言う衝撃、テレビもスタンドもすべてが
体ごと飛び上がった。

とまもなく大きな横揺れ、台所でガシャーンという音。父が、
「じっとしとれ。四つんばいになってじっとしとれ!」
と叫んでいる。

妹とは母キャーキャー叫んでいるだけだ。
オサムはパソコンを両手で抱きかかえて揺れが収まるのを待った。
『ナムストーン!これ以上激しくならないでくれ!たのむ!』

横揺れが収まって母が玄関のドアを開けた。ここは7階相当ゆれた。
「大丈夫かー?またくるぞー!」
誰かが叫んでいる。

すぐに余震の横揺れがきた。やっと収まって他の部屋を見てまわる。
居間のテレビは台から落ちて台所の食器棚は斜めになって食器は粉々。
妹の部屋は本棚が倒れて本が散乱している。

とにかく皆無事だ。母は友人の部屋を数軒訪ねて帰ってきた。
8階建てのマンションは中層より7,8階が激しく揺れてけが人も出た。

隣の棟では上水槽が壊れて水浸しになり
こちらの棟ではエレベーターとの間に1mもの隙間が開いた。
< 43 / 58 >

この作品をシェア

pagetop