ナムストーンPART1

大地震9

『もどれ!』
と叫んでいるような圧迫感を感じて、
オサムオサナイは元来た道で帰ることにした。

日が暮れると光がまったくなくて真っ暗だ。
夙川から宝塚へ抜けた。夜はだいぶすいてはいたが
それでも京都に着いたのは真夜中だった。

みんなからメールが届いている。
「大丈夫ですか?祈っています!」

世界中にこの大地震は伝えられ緊急援助隊や
ボランティアが国内外から続々と神戸を目指している。
まるで傷口をふさぐ白血球のように。

民間の対応は早かったが政府や自治体の対応は遅れに遅れた。
待機していた自衛隊さえすぐには出動できなかったのだ。

「オサムは無事ですが神戸の友人を救うべく毎日これから
神戸に向かいます。今朝から現地に入って今帰ってきました。

現地では数千人の人が生き埋めになっていて、火災も発生
していますが水が出ません。私の友人たちは無事でしたが
火災現場は地獄のようです。

これからは何が起こるかわからないので油断なく
ナムストーンを叫んでいこうと思っています」
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