ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
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ハロウィンが、近づいていた。
今日もあいつからの連絡はない。
「…暇だから、バイトでも初めてみっかなー…」
冷たい風が吹き始めるこの季節。
俺の心も寂しくなる。
なにか心を埋めるものを。
「彼女、うまくいってないの?」
うまくいってないか?
そんなの、いちいち気になんかしていられない。
自分で決めて、この道に進んだのだから。
「うまくいってないけど、俺は相変わらずあいつが好きだから」
そんなことを、毎回毎回言っていたっけ。
ハロウィンが、近くなる。
街が、オレンジ色に染まっていく。
この時期にまた出会いがあることを
俺はまだ、しらない。
【ジャックランタンの未来に、素敵な魔法を。】