ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
「俺がドラキュラの格好してるからなー。小さい子供が怖がらないやつも必要だから、朝比奈さんはカボチャかぶってくれない?」
「…え?」
「俺、もうメイクしちゃったし。カボチャいいじゃん。ハロウィンって感じで」
カボチャ!? わたし、カボチャなの!?
「え、えぇー…」
「なに、いやなの?」
「わたし、魔女の格好がいい」
「…」
だってだって、魔女の帽子かわいいし!黒いマントとか羽織ってみたいし!
魔女のコスプレ出来るからって理由でここに決めたってものあるのに………!
「…魔女がいいです…。衣装は選べるって書いてありました」
い、いくらイケメンだからって、ここだけは譲らない。
わたしの夢だった魔女の衣装……!
「それに、わたし魔女の格好しか似あわないから、それじゃないとイヤ」
「…」
しかもカボチャって、顔隠れるじゃん!
ふん、と、長瀬さんから視線を反らしていた。
目の前にある黒い衣装を見つめていると、頭の上から息が漏れるような笑い声が聞こえた。