ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
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次の日まで、わたしの人生最高の怒りはおさまらなかった。
バンッ!
「ちょっと美佐子聞いてよ…!!」
「ちょっと!コーヒー牛乳こぼれた!」
「ごめんなさい!!」
朝からコーヒー牛乳を飲まなきゃやってられないらしい美佐子は、わたしの怒りを受け入れる前に不機嫌になってしまった。
ティッシュを渡して机を拭くと、「よろしい、許す」とふんぞり返る。
その態度に突っ込む余裕なんかなかったわたしは、そのまま昨日起こったことを美佐子にぶつけ始めた。
「昨日バイトに行ったんだけどね!?もう!最悪なことばっかりで!!」
「なになに、どうしたんだい」
「ほんと最悪!せっかく秘密の宝物を見つけたのに、一気に落とし穴に落とされちゃった気分!!」
「…なんかその言葉、有名な映画作品に出てこなかったっけ…」
プンプンと怒りの湯気を発するわたしに、美佐子は真面目に聞いてくれた。
この上ないイケメンに出会えたこと、魔女の衣装が着たかったこと、イケメンと思っていた人が実はムカつくぐらい意地悪だったこと。
すべてを話したわたしは、膨らむだけ膨らんだ風船の空気が一気に抜けた気になった。
「でもまぁ良かったじゃん。理想の王子様には出会えたわけなんだし」
「あんなの王子様じゃないよ!王子様はわたしを子ども扱いなんかしないし、わがままなんて言わない
!」