ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
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お金には困らなかった。
17年間、好きに生きてきた方だと思うし、周りには友達も近づいてくる人間もたくさんいた。
自分でも、可愛い方だと思うし。そんな自分のこと大好きだし。
今までも、今も、これからも、不自由なんてしないと確信していたんだ。
…そう、あること以外、はね。
「あぁー!もう!ほんとにこんなカッコいい人いたらいいのにさ~!どうしてわたしはこんなに恋愛運がないんだろ」
朝比奈 結(あさひな ゆい)、17歳。
今までも今も恋を知らない高校2年生。
わたしは今日も雑誌のなかのイケメンを見ては、知らない恋愛の世界に憧れを抱く。
「為森(ためもり)君とかこんなにカッコいいのにさ。わたしのところにもこんな王子様が現れて漫画みたいな恋が出来たらいいのになぁ」
はぁ…、と独り言に近い不満をぶつけると、向かい側にいた親友の美佐子があざ笑うように言った。
「あんたね…、そんな嘆いてイケメンが手に入るなら、わたしだって苦労しないわよ」