ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
【バイト3日目】~あの人の存在に~
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金曜日、先週に比べたら足取りは軽い。
いつものように電車とバスを乗り継いで遊園地に着いた。
「こんにちは~」
事務所に入ると、真大はまだ来ていなかった。
16時集合で、15時55分なのに。
真大が10分前に来ないなんて珍しいな。
「中下さん、まひ…じゃなくて、長瀬さんはまだ来てませんよね?」
月曜日に気づいたジャ○おじさんに似ている中下さん。
それに気づいてしまった今は、もうそれにしか見えなくなってしまった。
「あぁ、長瀬君ね。まだ来てないんじゃないかな」
「…そうですか」
「まぁ彼にもいろいろあるんだよ、きっと。すぐ来るんじゃないかな」
…?
いろいろ??
ジャ○おじさんはニヤニヤしながら顎に手を添えていた。
な、なんなんだろう…。
「す、すみません…!まだ遅刻じゃないっすか!?」
…!!
考えたのもつかの間、次の瞬間には真大は事務所にやってきた。
息が切れている。左手にはスマホ。
…慌てて、来たのかな。