ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。


【バイト3日目】~あの人の存在に~


****


金曜日、先週に比べたら足取りは軽い。
いつものように電車とバスを乗り継いで遊園地に着いた。


「こんにちは~」


事務所に入ると、真大はまだ来ていなかった。

16時集合で、15時55分なのに。
真大が10分前に来ないなんて珍しいな。


「中下さん、まひ…じゃなくて、長瀬さんはまだ来てませんよね?」


月曜日に気づいたジャ○おじさんに似ている中下さん。
それに気づいてしまった今は、もうそれにしか見えなくなってしまった。


「あぁ、長瀬君ね。まだ来てないんじゃないかな」

「…そうですか」

「まぁ彼にもいろいろあるんだよ、きっと。すぐ来るんじゃないかな」


…?

いろいろ??


ジャ○おじさんはニヤニヤしながら顎に手を添えていた。
な、なんなんだろう…。






「す、すみません…!まだ遅刻じゃないっすか!?」

…!!


考えたのもつかの間、次の瞬間には真大は事務所にやってきた。

息が切れている。左手にはスマホ。


…慌てて、来たのかな。
















< 23 / 70 >

この作品をシェア

pagetop