ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
「…うん、でも彼女と電話してたのは本当、だからさ」
…ふつうは、彼女の話をするときって嬉しいものじゃないのだろうか。
どうして真大は、こんなに俯いて、声を小さくして、好きな人のことを話すのだろう。
「…俺ね、中学二年の時から今の彼女…、優歩(ゆうほ)っていうんだけど、その子と付き合ってて」
「……」
「でも、大学と同時に遠距離になっちゃって。だから今なんつーか、うまくいってないからさ。少しでも時間があるときは、繋ぎ止めたいって思っちゃうんだよなー…」
ごめんな、っと言って、真大はわたしの肩に手を置いた。
その手からも伝わってきた。真大は今、寂しがっている。
きっと、さっきの電話もうまくはいかなかったのかもしれない…。
「…だからって、わたし…」
…こういう時、なんて言ってあげればいいのか分からないな…。
美佐子なら、なんて言ってあげるんだろう…。
「ごめんごめん。私情をバイトに持ち込むなって言いたいんだろ?ごめんって。そんな拗ねんなよ」
「は!?す、拗ねてないし!!」
「はいはい。結ちゃんは考えてることが顔に出るお子ちゃまだからね」
「は!?真大だって出てるし!!」
ギャーギャーと、わたしと真大の声が遊園地に響いた。
「…ちゃんと、恋できる人なんじゃん……」
「ん?なんて?」
「なんでもないし!!真大のばか!!」
…良かった、もうあんまりお客さんいなくて。
良かった、もう真っ暗で。これ以上、真大の顔が見えなくて。
…良かった…。
大学生色の、桜貝のマニキュア、見せなくて………。