ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
「長瀬君、朝比奈さん、その飾りつけが終わったらもうあがっても大丈夫だよ~」
遊園地の真ん中にある噴水の周りの飾りつけをしていたら、中下さんがミニトラックに乗ってやってきた。
後ろの荷台には、切られた木々や葉っぱがどっさり。
きっと伸び切った植物をきれいに整えてきたのだろう。
ジャック・オ・ランタンの形をした木々は、この遊園地の中でも人気者だ。
あのデザインは、中下さんがやってたんだなぁ。
「あ、長瀬君!」
一瞬、目の前から遠ざかって行った中下さんは、なにかを思い出したようにわたしたちのところへ戻ってきた。
中下さんに呼ばれた真大は、かぶっていた帽子を外して返事をする。
「中下さん!どうしましたか?」
「今日はもう遅くなってしまったから、帰るときは朝比奈さんを送ってやってね」
「「え…」」
お、送る!?
真大がわたしを!?
中下さんの言葉に、びっくりしたわたしと、何とも思ってなさそうな真大。
お互い同じタイミングで目を合わせたから、わたしからそらしてやった。
「女の子を夜道に歩かせたらダメだよ?無理だったら俺が送るけど」
「…や、大丈夫っす!ちゃんと送ります!」
…!?
「そうか、だったらお願いね。終わったらあがってね!」
「はーい」