ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
男の人と歩幅を合わせて歩く。こんなこと初めてだ。
「っくあ~!今日も疲れたな~!」
真っ黒な空のした、ビルの電気だけが明々とわたしたちを照らしている。
顔だけがはっきりと見えて、真大は意外にも大きいということを知った。
わたしなんかより、ずっと…。
「…結?」
名前を呼ばれたときには、わたしは随分と黙っていたことに気付く。
ば…っと後ろを向くと、真大がニッと笑ってわたしの方を見ていた。
「…やっぱり……」
その笑顔は、わたしに向けてはいけない気がする。
「…わたし、一人で帰るし」
「は?なに言ってんの??」
彼女とうまくいってないんでしょ?
だったらなおさらわたしと一緒にいたらいけないんじゃないの?
…なんか、わたしも嫌だ。
「優歩のこと気にしてんの?」
「…」
「大丈夫だって。そんなことで怒るような奴じゃないし」
「…」
「ほんとはな、あいつ…。人のことを思いやれる良いやつなんだよ」
…真大が、優歩さんのことを、ほめた。
まるで、わたしの心の中を分かっていたみたいに。