ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
4
真大は、保育士を目指してる大学1年生。
中学から付き合っている彼女とは遠恋。最近はうまくいってない。
真大のことは、こんなことくらいしか知らない。
でも、たったそれだけなのに、今日、わたしは魔法にかけられたみたいに変わってしまった。
「…優しい、か……」
バイトから帰って、そのまま寝転んで考えた。もちろん真大のこと。
なにがあったわけでもないのに、真大のことが頭から離れなかった。
保育士になりたいこと。そしてそれが今日発揮されたこと。子どもには優しいこと。
…そしてわたしも、子どものように扱われるってこと。
近くにあったぬいぐるみをギュッと抱きしめると、また胸が締まったようにキュッとなった。
…次、会えるのは3日後。
あんなにむかつくこと言われるのに、会いたい。会って、また言い合いたい。
わたし、どうしちゃったんだろう。
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「ふーん…。保育士になりたい男、ねぇ…」
次の日、学校に行って、昨日のことを美佐子に話した。
気持ちのモヤモヤは言うのをためらって、その前にその出来事だけを。
子ども好きなこと、将来の保育士ってこと、そして、前よりも良く笑うってこと。
彼女がいてうまくいってないことも、美佐子は知っている。
「わたしは見たことがないけど、なんかどんな人か想像できるかもしれない」
「ほんとに!?」
「うん。多分、だからあんたのこと、子どもだって言うんだろうね」
むっ。失礼な。