ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。


「…最初はこんなんじゃなかったんだよ」

「うん」

「すっごいムカつく奴だったんだよ」

「うん」

「でも、今は笑ってない真大が嫌だー…」

「…うん……」


あの、風船をあっという間に取ってしまった真大が良い。
あいこちゃんに飴を渡した真大が良い。
同じ目線に立って話す、優しい真大が良い。

『子どもだな』って、笑う真大が良い。


むかつくけど、ほんとは優しい真大が、わたしは好きなんだ。


きっと、ほんとにムカつくくらい、わたしは真大が好きなんだ。


「…わたし、真大のこと好きなんだな…」

「うん、それはわたしは前から気づいてたよ」

「………」


ならそうと早く言ってくれればいいのに。
美佐子のばかたれ。

「…何か、出来ないかなあ」

「…何か?」

「うん、何か、わたしができること」


真大が元気になれること、何かできないのかな。

…気づけば、期間に制限のあるこのバイトも残り二週間しかない。

何か、何かないのかな。なにか…。



















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