ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
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【バイト20日目】 ~さよならは涙~
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いつものようにバスに乗る。
ガタンガタンと揺られていく中、わたしは昨日作り上げたフォーチュンクッキーを腕に抱えていた。
順番に食べられるように、2週間分のクッキーが順に入れられた箱。
見出しには、きちんと定めた約束事。
『一度には食べないでください』
『メモはきちんと読んでください』
『味は保障できません』
それでも、食べてほしいから、わたしは今日、真大にこれを渡すの。
「こんにちは~!!」
「おお、朝比奈さん、今日は随分元気だね」
「はい!今日はテンション高いんですよ~」
事務所に着くと、もう真大は来ていた。
彼女と別れてから、ずいぶん早く来るようになっていた。
「真大、こんにちは」
「…あぁ、よう」
…。
あぁ、やっぱりまだ元気ない。
会わない間も、ずっと彼女のことを思って落ち込んでいたのかな。
「真大、早く準備して働くよ!」
「あ、あぁ……(?)」
フォーチュンクッキーはまだあげない。
帰るときに、渡すんだ。