ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
それから、いつも通りにバイトは過ぎていった。
なにも、変わってはいなかった。
…いや、変わった真大のままだったんだ。
わたしがバカなことを言っても返事は「そうだな」とか「うん」とか、そんなのばっかり。
笑っているんだけど、それはわたしなら完璧に見破れるくらいの下手くそな笑い方。
ばか。真大のばか。
「…うし、時間になったな。もう閉館だろ?戻ろうぜ」
あっという間のような、長かったような、そんな時間が最近は続いている気がする。
でも、今日のわたしはそこで「かえろっか」なんて言えないのだ。
「………待って」
手が、震えてる。
渡すだけ、なのに。頑張れわたし。
「ん?どうした?」
わたしの前を歩いている、真大。
今は少しだけ後ろを振り向いて、わたしの方をじっと見ていた。
ばれないように深呼吸して、持ってた籠にギュッと力を入れた。
「…あのね、真大に渡したいものがあるの」
「…俺に?」
うん、って言葉が出てこなくて、頷くだけになってしまう。
…こんなに、緊張したの初めてかも。