ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。


「あのー、すみません、少しお願いがあるのですが…」



いつものように、スタンプを持ってウロウロしていると、3歳くらいの男の子とお母さんが遠慮がちに話しかけてきた。


「はい、どうしましたか?」


いつもの営業スマイルで真大が先手をきる。
こういうとき、やっぱり真大が元気だと安心だ。

「あの。子どもがパンプキンのスタンプを欲しがっているんですけど、どうしても見つからなくて。ヒントだけでも教えてくれませんか?」


お母さんの申し訳なさそうな声を聴いて、子どもも不安な表情を浮かべていた。
パンプキンは、確かに園中をうろうろしているから、見つかりにくいっちゃ見つかりにくい。

その気持ちは分からなくもない。


「ねぇ真大、探してあげようよ。べつに教えたらダメとかいうルールはないんだし」

「まぁ、そうだけど…」

こそこそ、こそこそ。
子どもとお母さんにバレナイように話す。

話し合った結果、仕方ないからサービスで一緒にさがしてあげることになった。




男の子の名前は海斗くん。
いちばん好きなハロウィンのキャラはドラキュラらしい。

その言葉を聞いて、また真大が笑う。


…よかった…。




















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