ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。


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それから、真大の調子はそのままだった。

突然落ち込むことはなかったし、彼女のことも話さなくなった。



ただいつものように、わたしを子どもってからかって、そのたびに言い合いになって、そしてお互いに笑いあう。

ただ、本当にいつも通りだった。

だから、実感が湧かなかったんだ。
真大との時間には、タイムリミットがあるということを。




「…あと、2回しか真大には会えないのか…」



ベットにごろんと寝転がった。

天井を見上げて目を閉じると、今までのことが思い出されてきた。



一番初めに会った、意地悪な真大。
衣装は魔女が良いといったわたしをあざ笑うように、『子どもだな』と笑った。


初めはイケメンだなって思ってたんだ。ただ、その一瞬で壊された。


それから、子どもに風船を取ってあげる真大。
迷子に優しく接してあげる真大。飴をあげる真大。
彼女に振られて落ち込んでいる真大。元気になった真大。


色んな彼の表情が浮かんでは消え、浮かんでは消え。



あぁ、これが恋だったんだなぁ…。
わたし、ちゃんと真大に恋出来てたんだなぁ。




「まひろ…」


最後は、きっと笑えますように。
期間限定の恋が、きちんと終わりを告げられますように。


そして最後まで、真大がクッキーに入ったメッセージを読んでいますように。







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