ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
「トリック・オア・トリート!」
「ハッピーハロウィン!はい、スタンプだよ」
ハロウィンも近くなってきた10月の下旬。
子どもたちもだんだんと増えてきて、わたしたちの仕事は忙しくなっていく。
真大とはたくさん話していたいのに、わたしたちは子供たちにひたすらスタンプを押さなければならないし、親子連れの人たちがいれば写真撮影に入らされる。
わたしと真大が映った写真。わたしも欲しい。
「ありがとう!またきてね~」
ようやく人が途切れた時は、もう何時間も経っていた。
真大は「疲れた~」といって座り込む。
そしたら、タイミングよく真大のトランシーバーが鎖骨の辺りで鳴った。
「はい、こちら長瀬」
何か連絡ごとがあるときは決まって中下さんから連絡が入る。
今日はなんだろう、休憩かな。
『長瀬君、朝比奈さん、休憩入っていいよ』
…あ、やっぱりそうなんだ。
おなかも空いてきたし、良い時間だな。
「了解っす。交代の人お願いします」
トランシーバーで話してる真大はカッコいい。
話すたびにのど仏が動いて、触りたくなる。
「結、交代だって。休憩行くか?」
「う、うん…!!」
真大、わたしも、隣にいる女の子になりたい。