ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
真大がわたしの頬から手を放して、携帯をのぞき込む。
その瞬間の表情を、わたしは見逃さなかった。
「…ごめん、話してくる」
「……っ」
…一瞬で、あんな顔になるなんて。
電話の相手なんて一人しかいない。
きっと、優歩さんからだ。
「…もしもし、どうしたの?」
大きな木の向こう側に消えていった真大。
少しだけ聞こえた声は、わたしに向けられたものよりもずっとやさしいものだった。
…分かってる。
あの二人は嫌いで別れたんじゃない。
これからまた良い関係を作っていくことだってまだまだ可能なはずなんだ。
わたしが入り込める隙間なんて、できて出来ていなかったようなもの。
…やっぱり、真大には優歩さんしかいないんだ。
「…帰ろ」
お弁当を持って、その場を去った。
このあと真大は、彼女と会うのかな。
先に帰ったことは、お腹痛くなったって話せばいいや。
わたしは、もういいの。
身を引かなきゃ…。
忘れられる、大丈夫。
だってもう、時間はわずかしかないから。