ひねくれ者が集まって。
「へぇ。じゃぁ何でそんな声小せぇんだよ。」

神崎颯がまるでおもちゃを見つけた悪魔のような笑顔で私を見てくる。

はじめて見た笑顔なのに・・・。

そんな作り出した様な表情、無いほうが良い。

「おい、答えろよ。」

そう言うと、私の顎をつまんで必然的に目を合わせてくる。

「ちょ、颯君!!やりすぎだって!!」

海馬日向が私の顎をつまんでいるのとは反対の手を引っ張って止めるが、神崎颯が動く気配は皆無だ。

「・・・颯、やりすぎ。」

一ノ瀬透がギロリと睨んでも何も換わらない。

他の二人はあきれたように颯を見ている。

「・・・何なのよ・・・。」

留めておくことができず、口から吐き出された言葉は誰にも聞かれることなく消えていった。

いったい、何だって言うんだ。

私が何かしたの?

貴方達に迷惑をかけたの?

こんなにも追い詰められなくてはいけないほどの事を、したの?

ああ。

そうか。

貴方達も同じなんだ。

アノ人達と同じなんだ。

私のことが、邪魔なんだ。

存在自体が邪魔なんだ。

よく考えなくてもわかることだ。

私がしていることなんて酸素を吸って二酸化炭素を吐き出しているだけだ。

その他もろもろ、意味のない行為だ。

だけど、酷いよね。

どうせなら。

殺してくれればいいのに。

自分の手は汚さない。

犯罪者にはなりたくない。

そういう、ズルイ考えの持ち主なんだ。

だったら。

私にどうしろと言うの?

「おい。何とか言えよ。」

神崎颯の低い声が頭の中を素通りする。

ああ。

なんだか変だ。

耳鳴りがするし。

「おい?」

目の終点が合わない。

「美華ちゃん?」

足元がゆがんで見える。

「ちょっと・・・大丈夫?」

もう・・・。

「・・・ダメッ・・・。」

そう呟いて私は意識を手放した。
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