ひねくれ者が集まって。
「あのさー、そろそろ食べないとホットケーキさめるよー?」

・・・あ。

今気づいてももう遅いかも。

だいぶ冷めてる。

と言うか、葵ってばもう少し早く言ってくれてもいいのに。

ちゃっかり自分は食べ始めてるし。

・・・本当、葵は周りをよく見てる。

「私も食べよーっと。」

誰に言うわけでも無く、そう呟いてホットケーキを一口食べる。

・・・美味しい。

え?

ちょ、何コレ?!

ホットケーキ一つでもこんなに味が違うんだ!

「蓮すごい!すっごく美味しい!」

お店出せるんじゃないってくらい美味しいんだけど!

これなら透がもっと食べたくなる気持ちもわかる!

「そう言ってもらえると作ったかいがあるな。」

そう言って、照れ臭そうに笑う蓮。

いいな、料理上手って。

私も蓮くらい上手だったら・・・。

・・・だったら?

だったら、どうなってたんだろう?

欲しかった言葉が聞けた?

欲しかった表情が見れた?

欲しかった日々が、過ごせた?

でも。

もしそうだったら。

今、こうやって皆と会うことは・・・なかった?

・・・だったら・・・無くてもいいのかしら?

よく、わからないけれど。

昔はひどく願ったものは、今でも手元にないけれど。

昔は全く想像していなかったものが、今は手元にある。

こんな状況で、まだ願いつづける私は・・・。

欲張り、よね。
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