ひねくれ者が集まって。
「そういうものかねー。」

小さく。

呟いた大羽葵の声は、静まり返った室内に嫌というほどよく響く。

「そういうもの。だって、名前をもらえるってことは望まれて生まれてきたって事だもの。」

目から涙が零れないように、必死に笑顔を作って見せた。

「だったら、いいね。」

「・・・ああ。」

「うん。」

「だね。」

「だな。」

皆、わかってくれた。

それがどんなに素晴らしい事か。

こんな事、当たり前だけど。

幸せなんだよって事、わかってくれた。

自分がどんなに恵まれているのか、わかったのなら。

生きる望みも生まれてくるから。

たとえ、どんな状況でも。

生きていこうと、思えるから。
< 34 / 144 >

この作品をシェア

pagetop