【完】白衣とお菓子といたずらと
「まー、もう退院するんですから、その話は大丈夫ですよ。そうそう、本題ですが、仕事のことでしたね。まだしばらくは復帰は難しいと、先生と小川さんからも聞きましたよ」


「……え?小川さんからもですか?」


先生に確認しているのは予想していたけど、まさか美沙にまで話しがいっているとは思わなかった。


驚いている俺とは違い、師長は当然といった顔で話を続けた。


「あなたのリハビリの担当でしょう?そりゃあ確認しますよ。ADLとかは、細かい動作的なところは彼女が1番理解しているでしょうし」


「……そうですよね」


「違う意味でも1番理解しているでしょうから、スムーズに話しが出来ましたよ」


わざわざ“違う意味”という言葉を強調され、急に恥ずかしくなってきた。


もっと、隠しておくべきだった。


そして、この人は確実に俺の反応で楽しんでいる。ほら、今だって、反応できないでいる俺をニヤニヤと眺めている。


「そんな、困った顔しないで下さい。こちらで考えているのは、12月1日から復帰してもらおうと思っています。2週間くらいして、夜勤務も入ってもらいます。あっ、お正月はバリバリ働いてくれる人員として換算していますので宜しくお願いしますね」


そうか、そうだよな。そこまで計画的に考えておかないといけないんだよな。


次の勤務の時には、正月出勤も入ってくるしな。


「分かりました。細かい勤務は勤務表できた頃に確認しに来ます。それでいいですか?」


「ええ、それでお願いします。勤務希望は考えて、退院するときか退院後に連絡してください」


「はい、また連絡します」


話しが終わると、私はこれでとさっさと扉の方へと向かっていった。


「彼女によろしく」


という台詞を残して。
< 124 / 220 >

この作品をシェア

pagetop