【完】白衣とお菓子といたずらと
手際よく料理がテーブルへと並べられているところだった。


「……うまそう」


思わず漏れた言葉で、正直な感想だった。


「今日は疲れて帰ってくるだろうと思って、あっさりしたものがいいかなって」


「ありがとう、気を使ってくれて。嬉しいよ」


「お礼なんていいから……食べよ?」


促されるまま、食べる事にした。先ほどから良い香りに、食欲が刺激されている。


「「いただきます」」


箸に手を伸ばし、まずはお浸しに手を伸ばした。


見た目だけじゃなくて、本当に旨くて次々と箸が伸びる。


いつもの事だけれど、食べ始めたら2人とも無言で食事を続けた。


残すのは勿体なくて、ご飯を御代わりしてまで食べた。


このほとんど話さない時間も嫌ではなくて、むしろ心地いいくらいで不思議に思うほどだ。


前々からなんとなく思っていたことを、彼女に話したい。


彼女にちゃんと俺の意思を伝えておきたい。


まだまだ仕事には慣れそうに無いけれど、復帰した今日だから伝えたいと思った。
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