【完】白衣とお菓子といたずらと
食事の後ソファで寛いでいると、洗い物を終えた彼女が俺の隣へと腰掛けた。

お盆を持って。


彼女が持って来たお盆には、俺の分だと思われるコーヒーと、彼女の分だと思われる紅茶とヨーグルトが乗っていた。


きっと今から食べるんだろうな。


彼女へ話をしようと気負っていたけれど、今は無理そうだ。


美沙がおいしそうに食べる姿は好きだから、それを眺めた後でもいいか。


「ありがとう」


コーヒーを受け取り口元に運ぶと、彼女を横目で観察しながら、コーヒーを口にした。


今日は珍しく、低カロリーの組み合わせだな。ひどいときは、ココアとプリンとか、甘いものを組み合わせている日もあるくらいだから。


今日も美味しそうに食べている。


……驚くほどに、あっという間に食べ終えてしまった。


もっと観察していたかったけれど一瞬だった。


――コトっ


「おいしかった」


ニコニコとしながら、紅茶まで飲み干してしまった。


最近色違いで揃えたマグカップをテーブルに置いたのを確認したところで、急に緊張が走った。


さて、今からいいよな?
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