【完】白衣とお菓子といたずらと
「ちょっと話を聞いてくれない?」

「……何?」


彼女の方に向きなおって、急に真剣なトーンで話始めた俺に、彼女は少し戸惑っている。


何の話だろうと、警戒している様にも見えた。


「ちゃんと俺の意思を伝えておこうと思って。これからも付き合っていくなら、一度聞いていて欲しい」


今度は彼女は何も答えず黙って聞いている。俺だって、緊張している。


彼女と考えが全く違っていたら、この関係も早々に終わってしまうかもしれないから。


早いかもしれないけれど、今伝えておきたいんだ。


「俺さ、美沙と真剣に付き合ってるつもりだよ。俺もいい歳だし、今すぐでないにしても、将来的には結婚って事も視野に入れてる。だから、美沙にもそのつもりで付き合ってほしいんだよ」


俯いて話を聞いていた彼女が、勢いよく顔を上げた。


俺も彼女の反応を、緊張しながら待っていたけど、予想していなかった反応だった。


よく見ると彼女の目には、涙が今にも溢れそうなほどに溜まっていた。


俺が彼女の顔を覗き込もうとするよりも、彼女の動きの方が早かった。
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