【完】白衣とお菓子といたずらと
身体に衝撃を受けた。


覗き込もうとした美沙の顔はさっきまであった筈の所にはなくて、すぐ見下ろしたところで、俺の胸に顔を埋めている状態だった。


……やっと状況を理解した。


さっきの衝撃は、俺の首に腕を回しながら、彼女が抱きついてきた時のもの。


この反応は、喜んでいいんだよな?


「……美沙?」


言葉が聞きたくて、名前を呼んだ。


「私だって……ちゃんと考えてる。礼央さんといると落ち着くって言うか、安心できるの。だから、いつか結婚できたらいいなって思ってた。でも、私はずっと片思いしていたから付き合ってあんまり経ってないって事は全然気にしてないの。けれど、礼央さんは違うでしょ?だから、重いと思って言えなかったの」


なんだ、考えている事は同じだったんじゃないか。


緊張が一気に解けて、硬くなっていた表情が緩んでいくのが自分でも分かった。


「……ありがとう」


俺も彼女の背中に腕を回して、ぎゅっと抱きしめ返した。


この少し早い鼓動も、すごく心地良い。
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