【完】白衣とお菓子といたずらと
「美沙……俺と結婚してくれないか?」


はっきりと言葉にしたくて、もう一度彼女に想いを伝えた。


「私で良ければ……よろしく…お願いします」


せっかく望んで返事をくれたというのに、未だに顔を上げてくれない美沙。


どうにか俺を見てくれないだろうか。


悩みはしたけれど1つしか方法は思い浮かばず、背中に回していた腕を離し、彼女の顎に手を添えると強制的に顔を上げさせた。


……やっぱりな。彼女の目からは、涙が溢れてしまっていて、頬には涙が伝っていった跡がはっきりと残っている。


感情の起伏が激しいということは付き合い始めて知った。職場では、どちらかというとクールで、冷静なイメージがあったのに。そのギャップが嬉しい。


俺にはその一面を見せてくれている事が、堪らなく嬉しい。


「……泣き過ぎだよ」


その姿が可笑しくて、けれど可愛くて、フフっ笑いが漏れてしまった。


「まだ仕事復帰したばかりで今すぐにとは言えないけど……正式なプロポーズはまた俺からするから、もう少し待っていて欲しい」


本当は今すぐにでもって気持ちもある。けれど、今の俺にはそれは言えない。それに、美沙はまだあせる必要はない年齢だとも思う。いずれはしたいっていうだけで、今すぐ結婚なんて彼女は無理だろう。


『今は嫌』と、はっきり言われることが恐くて、確認する勇気は俺にはない。


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