【完】白衣とお菓子といたずらと
すぐに反応が返ってくること思いきや、中々口を開こうとしない。


「……どうした?」


一向に喋らない3人に、俺の方が痺れを切らした。


「いや……なぁ?」


「こっちに振るなよ。お前が言えよ」


「えー、俺?」


3人はコソコソと、俺によく聞こえる声で誰が話すかでモメ始めた。


大山から池田、池田から香坂と順番にあっさりと話す権利が擦り付けられていた。


仕方がないといった風に、香坂が身体の向きを変え、そしてやっと俺に向けて口を開いた。


「小川もですけど、山下さんも変わったなって思って」


「俺が?」


「そうですよ。俺らが知っている今までの彼女を家に入れてる気配なかったじゃないですか。どこか一線を引いている感じがしていたのに、いつの間にか小川とは半同棲状態で、そりゃあ驚きますよ」


今までの俺の女性関係も知っているこいつらからすると、俺の行動が驚くべき事らしい。


無難に優しくしていたのは、入り込ませないためだったかもしれない。


「お前らが知らないだけって訳でもないかな。今まで、美沙以外は来た事ないからな」


「マジですか?そこまでとは思わなかった」


俺の答えに、また驚いているのは大山。


さすがに言わないけど、付き合う事になった日に美沙は泊まったけどな。


あの行動も、今までの俺にはありえないことだ。


美沙との関係は、自分でも驚く程、初めましての自分に出会う。
< 180 / 220 >

この作品をシェア

pagetop