【完】白衣とお菓子といたずらと
……この辺りで折れるかな。


本当に申し訳なさそうに謝り続ける彼女に、俺の心が痛んだ。これ以上は責めきれない。


とにかく、黙っていた理由だけは分かった。


けれど、まだ納得いかない点もある。もう少し話してもらわないと、俺はスッキリしない。


「内緒だった件は分かった。もう1つ聞きたいことがあるんだよね」


「……他にも?」


俺から離れると、分からないといった風に首を傾げた。


「昨日電話したときさ、男と一緒じゃなかった?」


「……?」


ますます首を傾けてしまった。


昨日のことなのに、何をそんなに一生懸命考えているんだろうか。


しばらく首を捻ったあと、あっ、と彼女が声をあげた。


「誰の事か分かった。いたいた、1人男性もいた」


この反応からするに、俺が心配していたような事はないみたいだ。……よかった。


それでも気に食わない。確か、“美沙”と名前で呼んでいた。


「でもその男、美沙って呼んでたよね?」


俺の質問にさっきまでの深刻な顔は180度変化した。今度はニヤニヤと笑っている。


「ねー、嫉妬した。嫉妬だよね?」


それはもう、嬉しそうに、嬉しそうに彼女は言った。そして、流されてしまった気がする。


「いいから答えて」


答えの返ってこないもどかしさに、は・や・く、と彼女に催促した。
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