【完】白衣とお菓子といたずらと
不機嫌になっていく自分を感じたものの、俺の知らない彼女の姿をもっと知りたいという気持ちの方が勝った。
「……え?これって」
2枚目の写真は、さっきとはちょっと違っていた。
1列に並んで取っていた1枚目。2枚目は、美沙を囲み、そして美沙を指差している写真。
囲まれている美沙はというと、左手を上に掲げている。その美沙の左手には、俺が渡した指輪が嵌められていた。周りの人たちは、美沙を指差しているというより、美沙の嵌めている指輪を指差していることに気づいた。
先日一緒に選んだばかりの指輪を、嵌めてくれたんだ。もっと高価なものをといったけれど、どうせ買うのなら普段から身に付けたいからと、俺の意見は却下された。
こうやって嵌めてくれているのを見ると……嬉しい。先ほどまで怒っていた事を忘れるくらいに、心が満たされ始めていくのに気がついた。
俺って単純で、それほどまでに美沙に惚れているんだよな。何度も、何度も彼女に思い知らされる。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、穏やかな声で彼女が話を始めた。
「指輪を見せて、みんなに報告してきたんです。もしかしたら、これが最後になるかも知れなかったから……」
どこか寂しそうに彼女は笑った。
「私もだけど、私の周りにはコアなファンが多くって……基本的にみんな独身で、彼氏もいない人が多いんですよ。同じようにファン続けて、同じようにライブに行くには、独り身っていうのが大前提で、続けていくのは難しいんですよね。今までもそうやってフェードアウトしていった人たちをたくさん見てきたから。報告したらね、もう会えなくなるかもしれないのに、みんな笑っておめでとうって言ってくれたの」
俺は……彼女にこんな顔をさせるために、プロポーズしたんじゃない。
そうだ、美沙はこんな性格だった。
白黒はっきりとさせてしまうんだった。もっとさ、楽に生きようよ。
「……え?これって」
2枚目の写真は、さっきとはちょっと違っていた。
1列に並んで取っていた1枚目。2枚目は、美沙を囲み、そして美沙を指差している写真。
囲まれている美沙はというと、左手を上に掲げている。その美沙の左手には、俺が渡した指輪が嵌められていた。周りの人たちは、美沙を指差しているというより、美沙の嵌めている指輪を指差していることに気づいた。
先日一緒に選んだばかりの指輪を、嵌めてくれたんだ。もっと高価なものをといったけれど、どうせ買うのなら普段から身に付けたいからと、俺の意見は却下された。
こうやって嵌めてくれているのを見ると……嬉しい。先ほどまで怒っていた事を忘れるくらいに、心が満たされ始めていくのに気がついた。
俺って単純で、それほどまでに美沙に惚れているんだよな。何度も、何度も彼女に思い知らされる。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、穏やかな声で彼女が話を始めた。
「指輪を見せて、みんなに報告してきたんです。もしかしたら、これが最後になるかも知れなかったから……」
どこか寂しそうに彼女は笑った。
「私もだけど、私の周りにはコアなファンが多くって……基本的にみんな独身で、彼氏もいない人が多いんですよ。同じようにファン続けて、同じようにライブに行くには、独り身っていうのが大前提で、続けていくのは難しいんですよね。今までもそうやってフェードアウトしていった人たちをたくさん見てきたから。報告したらね、もう会えなくなるかもしれないのに、みんな笑っておめでとうって言ってくれたの」
俺は……彼女にこんな顔をさせるために、プロポーズしたんじゃない。
そうだ、美沙はこんな性格だった。
白黒はっきりとさせてしまうんだった。もっとさ、楽に生きようよ。